ストーリー
story
「コーヒーでございますね。かしこまりました。」
「日経新聞でございますね。かしこまりました。」
「毛布でございますね。かしこまりました。」
航空会社の客室乗務員として勤務していた頃、何度そのように言い続けたことか。
「コーヒーでございますね。かしこまりました。」
「日経新聞でございますね。かしこまりました。」
「毛布でございますね。かしこまりました。」
航空会社の客室乗務員として勤務していた頃、何度そのように言い続けたことでしょう。
ニューヨーク線などの長いフライトの場合、私が勤めていた日系航空会社は、離陸後と着陸前のミールサービス以外に、30分に一度は必ず飲み物を持ってキャビンを巡回してお客様のケアをします。鳴りやまないコールボタンに対応し続け、ミールサービス以外の時間は、化粧室近くに待機しビニール手袋をしてトイレ掃除。万歩計だと片道2万歩強。フライト後に体重計を量ると毎回2kgほど減量していました。サービスは良くて当たり前という航空会社であったので、お客様の期待値は非常に高く、常に最高のサービスを提供できるよう、たとえ辛くとも笑顔で身を粉にして働きました。自分を押し殺し黒子のように…。
航空会社のサービス方針は、「2.5人称の視点でサービスをしなさい」というものでした。
つまり、他人ではなくあなたの大切な家族や友人と思いサービスをしなさい、ということ。毎回、お客様をそのように思いながら丁寧にサービスをするのですが、我が儘なお客様にお会いすると、どうしてもそのように思えないことも多々ありました。
私は、次第に何百回と言う「かしこまりました」という言葉に疲れ、言う度に首が絞めつけられるような感覚になり、心身ともに疲弊し体調を崩しました。
「どうしたら、もっと楽に気持ちよくサービスができるだろうか」
私は、フライト毎に試行錯誤し、日々研究しました。そして、ある時ひらめきました。
「そうだ!2.5人称ではなく、1人称の視点、つまりお客様を自分と思って接してみよう!」
そして、お客様を自分と捉えてサービスをし始めてみると、どうでしょう。不思議ととても穏やかに心地良くサービスができるように。お客様を思いやりサービスをすることは、自分自身に愛情を降り注いでいるのと同じ感覚に包まれ、サービスをする度に幸せな気持ちになりました。しかもお客様を自分事と捉えてサービスをするのでより親身に接することができるようになりサービスの質も向上。お客様からお褒めの言葉をいただく機会が格段に増え、社内表彰も何度かいただきました。
よくサービス従事者がやっていてよかった、嬉しいと感じるのは、お客様に喜んでいただいた時と誰しもが言います。私もお客様に喜んでいただき「ありがとうございました!」と笑顔で仰っていただくと本当に嬉しくて報われる気持ちがします。
最近の脳科学の研究で、人は親切な行動をする度に脳内にオキシトシン等の幸せホルモンが分泌され、さらに相手から感謝の言葉をいただくと、さらにそれらの幸せホルモンがより多く分泌されることが科学的にも証明されるようになりました。脳内にオキシトシンやセロトニンが分泌されると、免疫力が向上し、健康面でも良い効果があるとのこと。
「お客様に喜んでいただき、自らも幸せな気持ちになり健康にもなれるなんて、こんなに良い仕事はない!それならば、出し惜しみなくお客様に尽くしていこう!」
その後都内ラグジュアリーホテルへ転職してからも、サービスをすることが楽しくて仕方なく心からの笑顔でお客様にサービスすることができるようになりました。
「君の笑顔を見ると安心するよ。」
お客様からそのように仰っていただくことも度々あり充実感に包まれながら勤務していました。そのような折、後輩のホテルスタッフから時々、
「池田さん、実はお話があります。この度退職することになりました。」
「えっ!本当!次はどうするの?」
「もうサービス業には着きません。次は貿易関係の仕事をします。」
優秀で期待をかけていた後輩ほど異業種へ転職をする者が多く、とても残念な思いをすることが多々ありました。しかも、同じ業界ではなくまったく違う業界へ。建築業界へと言われた時は本当に驚きました。
私はその度に、過去の苦しかった自分を思い出し、後輩にサービスの素晴らしさや楽しさを伝えてあげられなかったことを悔やみ、自分を責めました。
「もっと多くの方にサービスの楽しさや素晴らしさを伝えたい!」
現在、訪日外国人が年間で4000万人を超え、お迎えする観光産業人材が足りず育成が急務であるにもかかわらず、優秀な人材は異業種へと加速するばかり…。
私は危機感を覚えました。これでは、日本の観光産業は低下し、日本の国力までも衰退してしまうのではないか。なんとかしなければ!
そこで、今まで培った接遇のスキルやサービスマインドを全国のサービス事業様にお伝えして、何かお役に立てることはないだろうか、そのような想いから、カインドフルネス アカデミーを創業しました。
当アカデミーの特徴は、名前の如く、お客様だけでなくサービススタッフの心を満たすことを大切にしています。長年の経験からスタッフの心が満たされていないと、心のこもったおもてなしは出来ないからです。スタッフが心からの笑顔でサービスをすれば、自ずとお客様はリピートしてくださり売上も自然と上がることでしょう。
是非、カインドフルネス アカデミーで学んでみませんか?皆様との出逢いを心よりお待ちしております。
